2007年12月23日

宮脇俊三さんのこと(最近読んだ本)

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 昨年くらいから、宮脇俊三さんの本を新刊・古本問わず買い集めては読んでいる。宮脇俊三さんと言えば、私が小学生の頃、国鉄全路線を完全乗車したことを記録した処女作「時刻表二万キロ」が好評を博し、国鉄のキャンペーン「いい旅チャレンジ20000km」につながったことくらいは当時から記憶していたが、その後は鉄道に興味を失っていたので、著作を読むのは初めてである。

 一通り読んで思ったのは、この人の一生そのものが鉄道と共にあったのではないか、ということ。大正15年に生まれ、幼少期から大の鉄道好き。青年期「みだりに旅行はしないように」とのお触れがあった第二次大戦中も政治家だった父に付いて日本中をまわり、玉音放送を聞いたのも米坂線の今泉駅だという。戦後中央公論社に入社してからも暇さえあれば鉄道旅行に出かけた壮年期はまさに国鉄の黄金時代であり、完乗を終え作家として遅いデビューを果たした中年期は、飛行機や自家用車の台頭で乗車率も下り坂、しかし国鉄は最後の踏ん張りを見せていた時期であり、そして国鉄の民営化に伴い、相次ぐ路線廃止や第三セクター化などで衰退の一途を辿った老年期。こうして見ると自身の人生と鉄道の歴史が見事に符合していて、そういった意味でも非常に恵まれた、幸せな人だなと思う。

 また時刻表マニアを自称し、車両の形式などには興味がないと認めているせいか、いわゆる「オタク」にありがちな専門用語や車両の形式を自慢気に語るような文章が微塵もなく、むしろマニアの滑稽さを飄々と描くことで、単なる鉄道紀行文の枠を超え、鉄道ファンのみならず一般の人たちにも受け入れられたのも頷ける。残念ながら私の大好きな昭和の黄金時代の鉄道、特にローカル線などに乗ることはほとんど叶わないが、せめてこの人の本を読んで往事に思いを馳せることにしよう。
posted by たけ at 00:36| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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