2009年06月17日

R.I.P.

これはすばらしいシンガーであり、ソングライターでもある話題の男、ケニー・ランキンをわが国に本格的に紹介するアルバム。彼について述べる前に、このアルバムがまことにビューティフルで楽しい内容を持った魅惑的なアルバムであることを申し上げたい。

 私の手にある一枚のレコードのライナーノーツは、こんな書き出しで始まる。解説は今は亡き音楽評論家、青木啓さんだ。1974年にリリースされたそのアルバム "Silver Morning" は、私が20代で最も聴いた一枚と言って過言ではないし、仲のいい友達やちょっと気になる女の子に渡すカセット・テープやMDには、必ずこのアルバムのB面1曲目に収められている "Haven't We Met" を入れていた。私にとっては思い入れもあるし、思い出深い1曲である。そんな素晴らしい曲を書いてくれたケニー・ランキンが6月7日、肺癌による合併症で亡くなった。享年69歳。1年半ほど前に観たライブで、咳払いをして喉の調子が悪そうだ思っていたが、そのときにはもう彼は病に冒されていたのかも知れない。
ケニー・ランキンのヴォーカルは、スムースであたたかく、都会的な洗練されたセンスが光っていて美しく楽しい。軽妙な表情にはウィットが感じられ、さらにジャズ・ヴォーカルにも通じるフェイクの面白さや、スキャットのスリルもある。おそらく誰方にも好感をもって迎えられるコンテンポラリーなポップ・ヴォーカルと言えるのではないだろうか。

 引き続き青木氏のライナーからの引用だが、もうこれ以上の説明はいらない、というくらい彼の特長や素晴らしさをとらえた一文である。Little Davidというその名の通りの小さいレーベルからリリースされた3枚のアルバムしか持っていない私は、彼の40年以上に渡る音楽キャリアのほんの一握りしか知らない、つまり熱心なファンとはとても言えない。しかしそれでもこの人の声が私の人生にどれだけの潤いを与えてくれたことか。天国で安らかに。合掌。



posted by たけ at 00:05| 東京 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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